症例2.過去に受け口を治療したが再発した

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相談内容

以前に受け口(反対咬合)が気になり、矯正治療を行ったが、治療してから期間が経って受け口に戻ってしまった。どうして後戻りしてしまったのか、今度は以前の治療のどこがいけなかったのか原因を患者さん自身でも理解して、再発しないように受け口を治療したい。

治療前の写真

  • 治療前の写真
  • 治療前の写真

以前の治療した際の歯型(治療前と治療後)

治療前と治療後

過去に受け口を治療した際には、治療後はしっかりと改善し、歯並びも咬み合せも治療できています。

再発して来院して頂いた際の歯型

再発して来院して頂いた際の歯型

過去に治療してから、受け口が再発してしまっています。
再発の原因は、2点考えられます。

【原因1】治療開始時期が早すぎた;ヒトの上顎は8才で約90%成長しています。それに対して下顎は最も背が伸びる時期、つまり12,3才(女児)で大きく成長します。今回の治療では成長期のタイミングを考慮せずに治療を行ったので、12才で治療終了しましたが、その後、下顎が前方に成長することで反対咬合が再発したと考えられます。つまり、顎の成長を予測できていなかった事が原因と考えられます。

【原因2】歯を抜く本数が少なかった;10才の初診時には叢生と(歯並びのでこぼこ)反対咬合が認められます。叢生は歯が萌える場所が足りないから生じます。場所を獲得しなければ歯は並びきれません。場所を獲得するには歯を削って小さくするか歯を何本か抜くしかありません。また、反対咬合を改善するには下顎の前歯を後退させるしかありませんが、そのためにはやはり後退させるための場所を獲得するしかありません。つまり抜歯が必要という事です。しかしながら、今回の症例では上顎の永久歯を1本抜歯したのみでした。であれば、下顎前歯は後退できないことになり、よって、再発のリスクが高くなると言えます。幾何学的計算が不十分であった可能性が考えられます。

参考:非抜歯矯正の知識

矯正治療を行うにあたり、歯を抜歯しないで治療ができないか検討することは当然です。ですが、非抜歯で治療を行う事を優先した結果、無理に歯を並べて治療するので、結果的に後戻りしたり、歯を後退させることができず、治療後に歯並びは改善できたとしても、咬みあわせが改善できていなかったり、生体としてのヒトは無理な治療を受け入れることができず、結果的に元に戻ってしまい治療をやり直す方が多くいらっしゃいます。
矯正治療は、骨格的な要因、歯の要因をしっかりと分析して、治療後を見据えて計画することが重要です。

当クリニックで作成する治療計画

歯並び、咬み合わせを改善するのは当然として、そのヒト個人にとって良好な前歯の位置を実現させることを目標にしています。いわゆる口もと美人を目指します。これは見た目だけの問題ではなく、口が閉じやすい事で口腔内の乾燥を防ぎ歯周病の予防に繋がると考えられているからです。また、前歯の位置の適正化は後戻りの度合いを小さくする効果も望めます。

そのために、セファログラムや模型、顔面および口腔内写真を総合的に分析し、もっとも合理的に(シンプルで早く)目標に到達できるように計画を立案します。

セファログラムによる分析とは

  1. 全体像の読像;セファログラム分析で重要なのは、細かい項目を計測して平均値と比較することではなく、個々の全体像を読像することです。多くのクリニックで目にするどこが何度で平均値からどのくらい乖離しているかといった細かい表記(数値がズラッと並んだ表)は、当院では最低限しか行いません。平均値は個人にとってさほど意味を持ちません。例えば上下の顎の前後的位置関係はANB+3°が平均値ですが、3°でも上下出っ歯、出っ歯、反対咬合と様々な咬合異常が見受けられます。また、コンピュータ画面上でさも最先端をアピールするように点をプロットし、0.1°単位(例えばANB+3.2°など)で数値を計測することも全く科学的な意味を持ちません。なぜなら、今日プロットしたAという点を明日も正確にプロットすることが不可能だからです。セファログラムの分析では線を描くことが重要です。点ではなく線で捉えることによって再現性が高まるからです。
  2. 前歯の位置と口唇周囲軟組織形態;前歯が出っ歯なら、口もとが突出したりアゴなし顔貌になり、口が閉じにくいことにより口を空いている時間が長くなり、口腔内乾燥に繋がります。これを防止するためには前歯の位置の適正化が必須となります。
  3. 口もとを改善するためのセファログラム分析の一例を下にご紹介します。リラックスした状態と口を意識的に閉じて頂いて撮影するセファログラムの2つを比較することで、口を閉じた際に無理が生じているかどうかを判断できます。その結果、治療後にどこまで改善できるか予測を立てることができます。
  • 口を閉じた状態のセファログラム口を閉じた状態のセファログラム
  • リラックスした状態セファログラムリラックスした状態セファログラム

セファログラムによる分析

黒のライン:口を閉じた状態  
緑のライン:リラックスした状態
青のライン:治療後の改善予測  
3重のライン:治療前と治療後(予測)の比較

治療後に行った結果に対する評価

さらに詳細なシミュレーション

黒のライン:治療前   
赤のライン:治療後

上記プレディクション(治療前の予測と実際)と実際の治療結果(↑↑↑)がほぼ一致していることが分かります。

参考:難症例の場合

さらに予測が困難な症例では、患者さんの歯型を1本1本切り分けて、現在の顎の大きさに並べて治療後が確認できるようにセットアップ模型を作成しています。その結果、今の顎に歯がどのように並ぶか、また歯の位置をどこまで後退させることができるかしっかりとシミュレーションする事ができます。

治療後の写真

  • 治療後の写真
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今回の治療した際の歯型(治療前と治療後)

今回の治療した際の歯型(治療前と治療後)

今回の治療では、下の歯を2本抜歯し、歯を後退させるスペースをしっかりと計算し、治療を実施しました。

治療の詳細

初診時年齢 25才2か月
治療期間 2011年4月27日~2013年11月6日(2年6か月)
治療費用 812,000円(税別)

症例の紹介

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